赤いスープは三倍の早さでのびるんだ

mimine23[1]

-ここは某喫茶「みみむすめ」-

「というわけで、カップラーメン食べるからお湯ちょ~だい」
と、さっき買ってきたカップラーメンを取り出す。
最近ちょっとハマってる「中華そば」

「・・・って、ここで食べる気?」
「いいじゃない、どーせここのメニューにもカップラーメンあるんだし」
海の家でもないのに、メニューに堂々とカップラーメンが並ぶ喫茶店・・・どんなだ?

「だからって、持ち込みしてくる人はいないぞ」
「え~、でも遙さんに聞いたら、『いいわよ~』って言ってたよ」
「そりゃ、遙にきけば言うだろうけどさ」
「そういえば遙さんは?」
「ん?いまなんか中でいろいろやってるよ、呼んでこようか?」
この喫茶店はもともと普通のアパートの一階部分を改装して作った物だから、奥の方はそのまま普通の家になってたり。
「ううん、別に用があるわけじゃないからいいんだけど、それよりお湯」
「・・・まったく、その辺にポットなかった?」
「ああ、あれね。じゃあかりまーす」
こぽこぽこぽ
「返す気もないのに」
「っていうか、なんかこれおかしく・・・?」
「あら、ゆーみさん来てたんだ」
奥から、タオルの束を手に遥さんが出てきた。
「ゆーみがカップラーメン食べるんだって、わざわざ持ってきたみたい」
「あら、いいですね~、私の分もあったりするのかしら???あ、そのポット使ったんですか?」
「うん、なんかまずかった?」
確かにさっきから何となく違和感は感じてるんだけど・・・。
「あ~、なんか最近そのポットお湯が出ないんですよね~」
「え!?」
おそるおそる、カップのお湯に指を浸けてみる・・・。
「暖かくも冷たくもない・・・」
え~!?どーして~!?
そういえば、湯気がでてない・・・さっき感じた違和感はこれだったんだ。
「って、これじゃあ食べれないじゃないー!!」
しくしくしくしく。
「しょうがないなぁ、ほら、こっちの鍋に移して茹でたら?」
「カップラーメンをそんなことしたら、麺がのびのびなんじゃ・・・・でもそれしかなぃかぁ」
すでにお湯を注ぐ前にスープの粉も全部入れちゃってるので、一度捨てて・・・という訳にもいかない。
「はう~」
なぜか喫茶店に来て、カウンターの中でカップラーメンを茹でる私・・・。
めったに見られないかもしれない。
「あんまり頻繁にやってても問題だよね」
「はぅわ」

ちなみに麺はやっぱりのびのびでした。
「あんまりおいしくない・・・」

-そこは、カップメンののびる喫茶「みみむすめ」-

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