-ここは某喫茶「みみむすめ」-
カランカラン
「いらっしゃい~」
「う~、今日は冷たいのがいいかな」
「じゃあ、アイスカフェオレでも入れましょうか」
いつものカップを取り出しかけたも手を止めながらはるかさんが聞いてくる
「うん、いいね。それでおねがい~」
カランカランカラン
「ただいまなの~」
店のドアを空けて、しっぽの付いたみみ帽子をかぶった少女がかけこんできた。
この子はみみっこ・・・らしい。元気が取り柄の好奇心旺盛な少女だ。
実はさっきまで一緒にいたりする。
「車で来る途中でさ、見つけたんで拾ってきた」
「あら、そーだったんですか」
「うん、のっけてもらったのー」
そう言いながら隣の席によじ登る。
ここのカウンター席は結構な高さがあるので、みみっこだと足が届かないようでいつも足をぶらぶらとさせている。
かわいいからいいんだけど。
「それにしても車で来るなんてめずらしいですね」
「さっきちょうど洗車してたからね~、せっかくなんでそのまま乗ってきた」
「また、その辺に止めてるんですか~、キップ切られたって知りませんよ~」
「まあ、この辺なら大丈夫だろ、そんなに長居する訳じゃないし」
「そーゆー時に限ってなにかあったりするもんですよ~」
あっさりと嫌なことを言ってくる。
「あんまり縁起でもないことは言わないでくれ、ホントになるから」
「なにがほんとになるのー?」
TVを見ていたみみっこが、気になったのか不思議そうな顔をして聞いてくる。
「ふふっ、言葉には力があるのよ~」
いたずらっぽくほほえむはるかさん。
「うーん?」
なんだかよく分からない顔をするが、すぐにTVのほうに興味奪われたらしい。
「そろそろ帰かな」
「ふふふ、車になにか付けられてないといいですね」
ほほえみながら、はるかさん。
「だから言うなっていってるのに・・・」
この人はコレだから・・・悪気はまったくないんだけど。
カランカラン
・・・・・・
カランカラン
「ゴメン、テッシュかなにか拭くものちょうだい」
「何かあったんですか?」
いいながらもテッシュペーパーを箱で渡してくれる。
「フロントガラスに、鳥の糞がべったりと・・・」
・・・さっき洗ったばっかりなのに。
「・・・あらまあ」
-そこは、鳥の糞が付く喫茶「みみむすめ」-